よもつひらさか/今邑彩

サスペンス、ホラー、ファンタジーの短編集。 今邑彩の著書を読むのはたぶん初めてだが、読みやすいしヒネリが効いていてかなり楽しく読むことができた。乙一や阿刀田隆のような雰囲気か。 別の作品も読んでみたい。よもつひらさか (集英社文庫)作者:今邑 彩…

イニシエーション・ラブ/乾くるみ

甘々な恋愛もの。 と見せかけておいて、えっ!!どゆこと!?と驚かされ、読んだ直後に最初から読み返し始めること請け合い。賛否両論あるようだが私は全然ありで面白かった。 解説でネタバラシしているが、明確な記述を避けてセンスを感じたのも印象に残っ…

蹴りたい背中/綿矢りさ

「インストール」が今ひとつピンとこなかった綿矢りさ。今回これを読んでみたら面白かった。 新しい学校生活になじみ切れず孤立する女子高校生と、似た境遇に見えるアイドルオタクの同級生の男子の奇妙な交流。 孤立している点は似ているが実は対象的な二人…

贖罪/湊かなえ

湊かなえの第3作。「告白」と雰囲気近く、登場人物の告白が続いていく形。でもなかなか面白く読めた。贖罪 (双葉文庫)作者:湊かなえ発売日: 2020/06/08メディア: Kindle版

夜市/恒川光太郎

第12回日本ホラー小説大賞受賞作品で第134回直木賞の候補作にもなったというタイトル作「夜市」と、書き下ろしの「風の古道」の中編2作からなる中編集。 恒川光太郎の作品は初読。角川ホラー文庫から出ているがあまりホラーという感じはしない。この世のも…

少女/湊かなえ

読後イヤな気持ちになる「イヤミス」の名を広めた湊かなえ。「告白」に続く2冊目。 人の死を見てみたいという気持ちに取り憑かれたふたりの女子高生の夏休みの記録。それぞれの思惑でひとりは老人ホームのボランティア、もうひとりは病院での読み聞かせ慰問…

インストール/綿矢りさ

だいぶ前から読んでみたかった綿矢りさ。初読。 当時だいぶ話題だった記憶があるが私的にはあまりピンと来ず少々残念。若々しい感性が滲む文章で好感は持てるが何というか深みを感じず読後に何か残るものがない感じ。 なんとなく勝手な印象でよしもとばなな…

殺人鬼 覚醒篇/逆襲篇/綾辻行人

ホラー小説読みたくて読んでみた。 覚醒篇はいかにも綾辻行人らしい話である意味納得。逆襲篇は続編て感じ。 どちらにも共通するのは、残酷描写がキツすぎる事。筆力を存分に発揮してこれでもかというくらいあの手この手で生身の人間の身体と精神をぐしゃぐ…

姉飼/遠藤徹

2003年の日本ホラー小説大賞の大賞受賞作品。 近親相姦的世界を思わせるタイトルだが、この「姉」というのが縁日の見世物小屋で見世物になるような一種の怪物的な生物=人間を指している。串刺しにされた痛みに叫び、凶暴で迂闊に近づくと肉を噛みちぎられる…

告白/湊かなえ

2009年の本屋大賞受賞作品。 学校教師のモノローグから始まり、関連する登場人物のそれぞれのモノローグが続いて一つの大きなストーリーが展開される。それぞれの章がそれぞれ読後感が悪く、結果として当然本全体の印象も良くなるわけもなく、ひたすらいやー…

粘膜人間/飴村行

2008年の第15回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作品。 タイトルが異様だしチラ見した評判も「発想が凄い」的な感じで期待して読んだのだが、私的には、うーんちょっと肩透かしだったかなあという感が否めない。 一番の問題は「粘膜人間」っていう特殊キャラが…

三匹のおっさん ふたたび/有川浩

三匹のおっさん第二弾。 おっさんが活躍する。痛快なパワーと人情の深さは変わらず一気読み。楽しかった。三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)作者:有川 浩発売日: 2015/01/28メディア: 文庫

巴里マカロンの謎/米澤穂信

なんと11年ぶりのシリーズ新刊。 4つの緩やかに繋がった短編集。 春夏秋ときたから最後は冬で綺麗に締めるのかと思ったら何故か今回は4つの短編のタイトル冒頭を都市の名前で揃えてきた。 「巴里(パリ)マカロンの謎」「紐育(ニューヨーク)チーズケーキの謎」…

蜜蜂と遠雷/恩田陸

恩田陸がついに獲った直木賞受賞作品。 ピアノコンクールに挑む若き天才たちの戦い。非常に面白くて一気に読んでしまった。 音楽を言葉でこれだけ表現して読む人の内面にイメージさせるのは並大抵の筆力ではない。恩田陸さすが。 次のどんなことが起こるのか…

三匹のおっさん/有川浩

3人のおっさんが街の自警団を結成し自らの特技を活かして様々な事件を解決していく痛快物語。高齢者がその経験と知識で対応にあたる様は安定的で心強く、自分も歳を取るならこうありたいと思わせられる。 孫世代の祐希、早苗のエピソードが瑞々しく、もう一…

暗いところで待ち合わせ/乙一

乙一の小説は読みやすくて好き。そしてしっかり構成を考えてある感じ。 この話は殺人の疑いで追われる男が、全盲で一人暮らしの女性の家に隠れて過ごす話。いかにもハラハラする設定で読み手の心を掴む。なかなか面白かった。暗いところで待ち合わせ (幻冬舎…

ストーリー・セラー/有川浩

複雑な思考をすると脳が劣化し死に至る不治の病に侵された女性作家の話。そしてその対となる、女性作家の夫の話。シリアスで重たい話だが有川浩らしい細やかな心の襞が緻密に書き込まれたラブストーリー。後半は前半の作品後に書き下ろされたものだがメタ的…

奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘/木犀あこ

奇奇奇譚シリーズ第3作、完結編。 面白くないながら最後は上手くまとめてくるかと淡い期待で読んで見たが、残念ながら期待を超えることなし。扱っているネタや目指そうとしている世界観はまあまあ面白そうなのに、そのイメージを読者にうまく伝える筆力不足…

阪急電車/有川浩

有川浩の連作短編。阪急電車に乗り降りする様々な人々のエピソードが他のエピソードと微妙に交錯しつつ大きな一つのストーリーになっていて面白い。基本的に心温まりスカッとするテイストで心が癒される。阪急電車 (幻冬舎文庫)作者:有川 浩出版社/メーカー:…

白銀の墟 玄の月/小野不由美

十二国記最新巻。シリーズとしては6年ぶり、長編としては18年ぶりということで期待大。久しぶりに書いてくれたと思ったらボリュームも長大で4分冊。気になっていた泰国の話の続きがついに明らかに。 まず18年ぶりの長編ということで、これまでの作風から変…

丕緒の鳥/小野不由美

約6年ぶりの再読。十二国記の第8巻。短編集。 「丕緒の鳥」。慶国に陽子が新王として即位する際に行われる儀式、大射。この大射の儀式を司る部署の男・丕緒の話。架空の世界の架空の儀式なのに緻密な描写であたかも現実のもののように思えるこの筆力とイマジ…

黄昏の岸 暁の天/小野不由美

約20年ぶりの再読。十二国記の第6巻。 泰国の話の続き。泰王と泰麒の治世が始まったが、盤石だと思われた泰が不穏な事態に巻き込まれていく。第0巻「魔性の子」が現世(蓬莱)側の話であり、これが十二国側の状況という表裏一体の構造をなしている。泰王と泰…

図南の翼/小野不由美

約20年ぶりの再読。十二国記の第5巻。 国王不在が続き国土が荒廃する恭国。大商家の娘、珠晶が王になるため蓬山へ昇山する物語。今までは王を選定する手順としてさらっと記述されていた蓬山への昇山がいかに危険で大変なものかが緻密に描かれる。妖魔が多く…

風の万里 黎明の空/小野不由美

約20年ぶりの再読。十二国記の第4巻。 景王となった陽子、海客の鈴、先の峯王の公主・祥瓊の三人三様の少女の成長物語。王が身分を隠して市井にまぎれ自国を把握しようとする中で、国の大きなうねりに巻き込まれていく。3人が出会うまでは個人の物語として背…

東の海神 西の滄海/小野不由美

約20年ぶりの再読。十二国記の第3巻。 延王・尚隆と延麒・六太の話。復興し始めたばかりの雁国に発生した国内騒乱の顛末。古代中国の戦国時代にも似た世界観で、国の統治の構造や民びとの生活が浮き彫りになり、その中で権謀術策が繰り広げられる。揺るぎな…

風の海 迷宮の岸/小野不由美

約20年ぶりの再読。十二国記の第2巻。 今回は第0巻「魔性の子」の十二国側から見た同時期の話で、泰麒が王を選ぶ話。十二国がどのような世界なのかが説明されていくと共に、この世界の理のなかで苦悩しつつも成長していく泰麒が不思議なリアリティで語られて…

新年

明けましておめでとうございます。 ここを見に来てくれるみなさんありがとう。 今年もよろしくお願いします。 今回の年越しは自宅にて。 治りきっていなかった風邪がぶり返したのか、年末から体調が悪くてぐったり寝正月。熱は全く上がらない割に、咳や鼻が…

リカ/五十嵐貴久

ホラー小説。ストーカー物。 キングで言ったらミザリー的ないわば狂気に満ちた怪物的キャラ。なかなか強烈なキャラを創造したな思った。物語り後半に行くに従ってより激しい描写となるが、途中がやや抑え気味で勿体ない。ドアに自分の髪の毛貼り付けておくと…

月の影 影の海/小野不由美

十二国記シリーズ第1弾。「魔性の子」に続き約20年ぶりの再読。 月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)作者:小野 不由美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/06/27メディア: 文庫月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)作者:小野 不由美出版社/メー…

惜別

親族の突然の訃報あり、本日はその通夜。 明るく楽しい人柄の人だった。 残念で仕方ない。