羊をめぐる冒険/村上春樹

僕&鼠シリーズ第3作。 1、2作目に比べるとタイトルの「冒険」の文字どおり、ストーリーに明快な展開があって読みやすい印象。大小の謎が散りばめられ飽きさせない。一気に読まされてしまった。 ただこれがなぜ青春3部作と呼ばれるか今の所わたしには腑に落ち…

フリオ・コルタサル/奪われた家/天国の扉 動物寓話集

コルタサルの短編集。解説によると本作が「真の処女作」だそうだ。 他のアンソロジーなどで最初の2篇「奪われた家」「パリへ発った夫人への手紙」は既読。両方とも奇妙で心が不安になる不思議な味わいで大好きな作品。訳者が違うと作品の印象が変わる事があ…

マッドボーイ・シリーズ/辻真先

朝日ソノラマ文庫で読んだ辻真先のSF作品の双璧のもう一方はこれ。マッドボーイ・シリーズ3部作。三枚目で恋人も作れない恭太=マッドのボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー。 テレビマンの辻真先のユーモアたっぷりの固有名詞設定でニヤリとし、ロボットのリ…

株式学園の伝説シリーズ/辻真先

朝日ソノラマ文庫は今で言うところのライトノベルの走りで私も随分と読み漁った。その中で辻真先はポテト・スーパーシリーズで推理小説の面白さを開眼させられた感が強いが、この株式学園の伝説シリーズ3部作と、マッドボーイ・シリーズ3部作のSF作品も大好…

1973年のピンボール/村上春樹

僕と鼠シリーズ第2段。 相変わらずストーリー的な面白さはよく分からないが、最初読んだ時より慣れたのか、何やら言葉にうまく表せない面白さをそこはかとなく文章の塊の中に感じるようになってきた。豊饒な言葉と高いエントロピーで内的世界を無限に押し広…

かにみそ/倉狩聡

かにみそ (角川ホラー文庫)作者:倉狩 聡発売日: 2015/09/25メディア: Kindle版

美しい家/加門七海

美しい家 (光文社文庫)作者:加門 七海発売日: 2014/08/29メディア: Kindle版

コンパス・ローズ/アーシュラ・K・ル=グウィン

短編集。 分かっていたけど手強かった。 読み終わるまでに10回くらい寝落ちした。コンパス・ローズ (ちくま文庫)作者:アーシュラ・K. ル=グウィン発売日: 2013/02/01メディア: 文庫

ガン病棟のピーターラビット/中島梓

栗本薫が亡くなったのは2009年5月末。もうすぐ12年と言うことか。訃報に接した時の衝撃と落胆もようやく薄れて冷静に読めるかなと本書を手に取った。 ガンで入院してとりあえずの退院をするまで、2008年1月から2月にかけて記述されたエッセイ。あとがきが200…

ジウI, II, III/誉田哲也

武士道シリーズがなかなか面白かったので誉田哲也の他の作品に手を出してみた。 警視庁の対照的な性格の2人の女性を主人公に、徐々にスケールが大きくなる犯罪事件の顛末がスリリングに描かれている。一気に読まされてしまった。こういう作風が誉田哲也のメ…

ジュージュー/よしもとばなな

ひっさしぶりによしもとばななを読んだ。ジュージュー (文春文庫)作者:よしもと ばなな発売日: 2014/01/04メディア: 文庫

祝祭と予感/恩田陸

「蜜蜂と遠雷」に関する様々なエピソードをまとめた短編集。本編とは別の角度から世界が補強されて更に全体的に味わいが深くなる感じ。面白く読んだ。祝祭と予感 (幻冬舎単行本)作者:恩田陸発売日: 2019/10/02メディア: Kindle版

マクベス/シェイクスピア著・松岡和子訳

蜷川幸雄の芝居は見たが原作ちゃんと読むのは多分初めて。 シェイクスピアって子供の頃のイメージは格調高い文学の代表格みたいなイメージだったけど、今読むと超エンターテイメントな作品なんだなあと思う。人間の普遍的な心理を豊潤な言葉の奔流で表現する…

Nのために/湊かなえ

湊かなえの4冊目。 実質のデビュー後に書いた最初の作品らしい。 小説としての構造を綿密に考えた感じ。 徐々に真実が明かされていくストーリーは湊かなえらしい。 面白く読んだ。Nのために (双葉文庫)作者:湊かなえ発売日: 2020/06/08メディア: Kindle版

かがみの孤城/辻村深月

辻村深月を読むのは初めてで期待して読んだ。 いわゆる不登校状態の主人公が鏡の向こうの城に行き望みを一つ叶える鍵探しを出題される、というファンタジー王道設定だが、主人公の抱える問題や心の描写が丁寧にされていて苦しくなる。他の登場人物も徐々に人…

桐島、部活やめるってよ/朝井リョウ

映画化されて知った本。タイトルがインパクトあって期待して読んだ。 様々な登場人物のそれぞれのエピソードが緩やかに重なり合いながらも基本はバラバラ。それをぐっと適度な距離感でまとめ上げるのがこのタイトル。 全然違うかもだけど、この感触は「ゴド…

陰日向に咲く/劇団ひとり

読み始めた当初はちょっと素人っぽい文章でイマイチかなあと感じたが、読み進めていくうちに違和感は薄れて楽しむことができた。一つ一つの話が別の話と微妙に重なり合い不思議なカタルシスがある。まあまあ。陰日向に咲く (幻冬舎文庫)作者:劇団ひとり発売…

武士道ジェネレーション/誉田哲也

武士道シリーズ第4弾。 最初の3作で高校3年間を描いたわけで、本作はその後日談的なエピソードとなっている。さすがにこれで完結なのかな。人種や歴史観的な主張が織り交ぜられた部分が個人的にはあまりストーリーにそぐわない感じを受けてしまったが、シリ…

リピート/乾くるみ

好き嫌いが大きく分かれるらしいが乾くるみの「イニシエーションラブ」がなかなか面白かったので次作を読んでみた。今回は意外にももろSF設定の、しかも時間遡行テーマ。 ケン・グリムウッドの「リプレイ」を下敷きにしているのは作中で説明があり、10ヶ月前…

武士道エイティーン/誉田哲也

剣道青春もの3冊目。高校3年で一旦お話としては区切りとなるか。 主役二人を中心にそれぞれのモノローグが交互に出てくる形式を基本に、今回はその周辺の人々のモノローグも入れてきて、小説世界がより広がって区切り感を強く感じる。スポ根漫画のような異様…

高校入試/湊かなえ

一流進学高の入試を舞台にしたミステリ。 「入試をぶっ潰す」などと書き込まれていく裏サイトの模様と、学校教師たちそれぞれのモノローグが緊迫感とリアルな同時性を感じさせる。 ただ登場人物が多く特に何人かの教師たちは記憶に残らず毎回冒頭の人物構成…

武士道セブンティーン/誉田哲也

シックスティーンに続く2作目。 前作と同様に2人の主人公の一人称で交互に物語が紡がれてゆく。 人との繋がりの優しさが胸に染みるお話。 さて、次作エイティーンでは三年生、部活最後の一年が描かれると思われる。楽しみ!武士道セブンティーン (文春文庫)…

夜行観覧車/湊かなえ

最近お気に入りの湊かなえ。 高級住宅街「ひばりヶ丘」で起きた夫婦間の殺人事件。理想形に思えた家族とその向かいに住む2家族の人間模様が描かれる。 衝撃な展開はないがやっぱり一気に読まされてしまった。夜行観覧車 (双葉文庫)作者:湊かなえ発売日: 202…

武士道シックスティーン/誉田哲也

先日読んだ有川ひろのエッセイ集で言及されていてちょっと面白そうかなと思って手に取った。剣道に青春をかけてのめり込む2人の女子高生。スポコンの王道的設定だが、1人は子供の頃から剣道一筋のエリート、もう1人は日本舞踊を習っていたが事情で剣道を習い…

果つる底なき/池井戸潤

池井戸潤のデビュー作。銀行ミステリ&ハードボイルド。 テンポよくぐいぐい引き込まれる感じで一気に読まされた。果つる底なき (講談社文庫)作者:池井戸潤発売日: 2017/03/31メディア: Kindle版

倒れるときは前のめり/有川ひろ

有川浩が有川ひろに改名。 2000年前半くらいからの雑誌等へ掲載したエッセイが主に収められている。また最後に短編が2篇集録。 エッセイは初めて読んだのだが有川ひろの考え方や主張がすぱっと良い切れ味で描き出されていて読んでいて気持ち良い。 短編二編…

星の王子さま/サン=テグジュペリ作、内藤濯訳

星の王子さまってどんな話だっけ?と急に気になって読んでみた。訳者が違ういろいろな版があるが、日本に広まるきっかけともなった由緒正しい内藤濯氏の歴史的名訳の岩波文庫版を選択。 訳者あとがきや訳者の息子である内藤初穂による備忘録がこの物語のさま…

ゴランノスポン/町田康

町田康を読むのは4、5冊目か。 文体から溢れ出る内なるとエネルギーと圧力の高さは相変わらずやなあと思う。歌ってる時と本質変わらんというのが正直なところ。圧倒される。 ゴランノスポンという語感良いね。解説見て初めて何のことか分かったけど、全く意…

阿刀田高/最後のメッセージ

阿刀田高のショートショート集。高レベルを維持していて安心して楽しめた。新装版 最期のメッセージ (講談社文庫)作者:阿刀田 高発売日: 2009/01/15メディア: 文庫

玩具修理者/小林泰三

1996年の第二回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作の「玩具修理者」と、中編「酔歩する男」の二編。 小林泰三の小説を読むのは初。 当時ちらりと書評を見かけた時これは「クトゥルー神話」の系譜だと書いてあり、クトゥルー神話ファンの私的には「適当に世界観…