青葉市子+内橋和久@下北沢LADY JANE


今夜は青葉市子と内橋和久のデュオ。
異世界に吸い込まれて長い時間を永久ループしているような浮遊感と不思議な安息感に癒された印象的なライブ。


昼間は2人とも別の現場で本番があり顔合わせは夕方だったそう。
青葉市子は花の透かし刺繍、襟元もレース編みのような精緻な模様が入った上品な白いトップス。たっぷりしているのにダブついている訳でも無い不思議な服。
胸元にチョーカー、耳に薄いピンクのピアス。
髪は以前の長髪より少し短く後ろで束ねてポニーテールという出立ち。
曲名覚えているのは以下。


火の粉
奄美蛙歌
もしもし
月の丘
宇宙のみなしご
アンコール: おめでとうの歌


MCは、内橋和久と会ったのが19の頃でもう12、3年経ったという話、今日は映画「こちらあみこ」のイベントがあったことなどなど。
最初、ライブは休憩無しで1時間くらいで、と言った気がするが終わったのは20:30ごろで約2時間。内橋和久の独特な音と相まってよりディープさアップの圧倒的な青葉市子世界に浸りきった。素晴らしいライブ。



堀貴秀/JUNK HEAD

Amazon Prime Videoで鑑賞。
たった一人で独学で完成させた驚嘆のストップモーション映画。7年かけたというのが納得。
遥かな未来の地球は環境汚染で地上に住むのが難しくなり人類は広大な地下空間を開発したが、その際に労働力として創造した人工生命体マリガンが反乱を起こして地下を占拠。人類は結局なんとか地上で暮らすことになるがその1600年後の人類は生殖能力を失ったうえに新種のウイルスによって30%の人口を失った。絶滅を危惧した人類はマリガンのDNA情報に活路を見出そうと地下へ調査員を送り込む。というお話。
全て手作りという登場人物のフィギュアも背景も独特で、ストップモーションならではの不思議なリアリティとこの上なくマッチして一度見たら忘れられない強いインパクトを受ける。奇怪でグロテスクなシーンも散見されるがコミカルで思わず笑ってしまうシーンも多く非常に楽しく鑑賞した。
実は話は終わっておらず監督の想定では3部作となるそう。次作「JUNK WORLD」の制作に取り掛かっているということで今週末のEテレで堀貴秀のインタビューが放映されるらしい。見てみなくては。そして早く次作を完成させてほしい。その際は映画館で観たい。

JUNK HEAD(字幕版)

白ゆき姫殺人事件/湊かなえ

化粧品会社の女性社員が殺害された事件について、関係者の証言が次々と展開される形で進むストーリー。話の中に出てくる雑誌記事やSNSの書き込みが最後にまとめて記載されていて少し凝った体裁をとっている。映画化されただけあってなかなか読み応えありな内容。面白く一気に読んだ。
白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

CDの凋落



音楽を入手する環境の主流が大手クラウドサービスのダウンロード販売になっているのは理解していたが、久しぶりに昔よく行っていた新宿ディスクユニオンへ行こうとしたらJazz館は店舗自体がなくなっていたり、ほかの店舗もフロアが大幅縮小されているのを目の当たりにしてちょっと衝撃を受けた。。。
先日私の手からすり抜けていって非常に悔しい思いをしたCDを中古品で探しに行ったのだが案の定発見できず。数年以上かけて地道にさがすことになると腹を括った。


代わりに入手したのがこれ。ふぇのたす
ふぇのたすを発見して聴きに行きたいなと思ったらその時点で既に解散していた。
そしてボーカルのMICOがソロ活動として始めたShe Is Summerも2021年で完結したことにさっき気づいた。
ライブで聴くことにとことん縁がないのが残念至極だが今後の活動に期待。

アレポス@吉祥寺Manda-La2



今宵はアレポス。
今回も素晴らしいステージで参加することができてよかった。



二人とも秋らしい茶色を取り入れたちょっとお洒落な装いで登場。
5月、8月、10月とこれだけ立て続けにライブが行われるのは珍しい気がするが、そのせいか少し選曲も変えて演奏。
歌詞をつけたばかりというキリングタイムの「Minerals」のセルフカバーを本邦初披露。れいちMCによると「人間に必要なミネラルには16種類あるけど歌詞には13種類しか登場しない。細かいこと言わないでね」とのこと。
バルトークを夢見て」という曲も最近の曲かな?を演奏したり。
清水一登MCではヘンリーカウが大好きだったこと、「指が覚えてるなあ」と言いながらそのすきだった曲を結構ながながと弾いて見せたり。


それにしてもお客さん少ないの勿体ない。今回は6~7人くらいだったか。
次のライブは未定だそうだが是非また行きたい!!


架空通貨/池井戸潤

2000年3月に出版され2001年の吉川英治文学新人賞の候補となった作品(「M1」改題)。
教師が教え子の父親の会社の経営破綻の謎を追ううちに一つの街を巻き込む大きな黒い事件に巻き込まれていくお話。
銀行や金融の世界に詳しい池井戸潤だからこそ書ける圧倒的なリアリティで分厚いながらあっという間に読まされてしまうエンターテイメント性の高い作品。
教え子の女子高生のキャラが目立たないのと主人公辛島の行動に納得性を持つだけの背景書き込みが若干弱い印象もある。
とはいえ一言でいえば圧倒的に面白い。さすが池井戸潤
架空通貨 (講談社文庫)

沖田修一監督「モリのいる場所」@銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ

2018年公開の映画。実在の画家、熊谷守一を描いた作品。銀座エルメスのミニシアターにて鑑賞。
昭和49年、94歳の「モリ」こと守一は30年間自宅を出ることなく生い茂る庭の木々や生物を観察することを日課にしているが、家には様々な人々が寄り集い何かと騒がしい。モリの何事にも影響されず不動の姿勢であることと周囲の人々のどたばた感が対比的に良い滑稽味を出していて、静かで暖かな気持ちと共に思わずくすくす笑ってしまう。熊谷守一自身への興味がわいてしまう作品だった(昭和天皇の展覧会でのお言葉や、「蟻は2番目の左足から歩き始める」という話は実話なのだろうか?)。
それにしても錚々たる俳優陣。主演の山﨑努と樹木希林の存在感は圧倒的だし周辺を支える面子も個性派ぞろいで嵌っている。家事を手伝うモリの姪っ子役の池谷のぶえもたまらない。
樹木希林最晩年の出演作の一つでもあり、つい先日10月19日に交通事故で帰らぬ人となったザ・ドリフターズ仲本工事がテレビに映るシーンがでてきたということもあって、何か時代と郷愁とそこはかとない悲しみを感じる映画鑑賞でもあった。