夏といえば怪談!と思って何となく目に留まった短編集を読んだ。
文豪が書いた作品という集め方なのであまり短編集としての色やポリシーは感じられず雑然とした印象は否めないが、1作1作はそれなりに面白く楽しく読んだ。
印象に残っているのは森鴎外「心中」、芥川龍之介「沼」、小酒井不木「死体蝋燭」あたりか。
「心中」は最後の場面が映画のワンシーンように心に不吉に想起されていやぁーな感じ。
「沼」は話としては怪談という感じではないが、ところどころに文章表現としての凄みを感じて芥川龍之介さすが、と思った。今度ちゃんと読んでみよう。
「死体蝋燭」はまさに怪談かな。ぞわぞわ。
楽しい。
夢野久作「怪夢」
森鴎外「心中」
芥川龍之介「沼」「凶」
室生犀星「蛾」
小酒井不木「死体蝋燭」
村山槐多「悪魔の舌」
太宰治「魚服記」
谷崎潤一郎「人面疽」
小泉八雲「耳無芳一の話」
小川未明「百合の花」
海野十三「俘囚」
江戸川乱歩「鏡地獄」
ノックス・マシン/法月綸太郎
以前、時間テーマのアンソロジーで読んだノックス・マシンがなかなか衝撃だったのでオリジナル短編集を読む。
- ノックス・マシン
- 引き立て役倶楽部の陰謀
- バベルの牢獄
- 論理蒸発 ノックス・マシン2
法月綸太郎はミステリ作家だと思っていたのだが初めて読んだのがこの短編「ノックス・マシン」で、SFファンの私としてはこのアイディアに脱帽。
一言でいえばハードSFだろうな。
これ、SF素養がないミステリファンが読んだらかなり肩透かしとなるだろう。
これに対して「引き立て役倶楽部の陰謀」はごりごりミステリおたく向け?
私自身はミステリはそれほど読んでいないのでここに出てくる古今東西有名作品の「引き立て役」がわからない人が多くて面白さはあまりつかみ切れていないと思われる。
おもしろかったけどね。
「バベルの牢獄」は、なんというか実験的SF作品とでもいえば良いか?全然似ていないが奇妙な世界観としてはボルヘスの「バベルの図書館」に通じるものを感じる。
「ノックス・マシン2」は「ノックス・マシン」の続編で主人公のその後も描かれるが新たなアイディアを核に構築されていて興味深い。
ということで、世の中一般の評判を見ると、「2014年度『このミステリーがすごい!』第1位」と輝かしい評価なのだが、これのせいで一部のミステリファンにはだいぶ不評を買っているようだ。
上にも書いたが「引き立て役倶楽部の陰謀」以外はこれは基本的にSF作品だ。本格ミステリを期待して読んだらそら怒る人が出るわ。
じゃあSF界での評価はどうなのかと思って2014年度の星雲賞を見てみたが残念ながら見当たらない。
えー。私としては日本人離れしたSFセンスを持った素晴らしい作品なのだが。
初めて飛浩隆の「象られた力」を読んだ時のような衝撃を思い出した。
長岡花火大会
コロナで2年連続中止となった長岡花火大会だが今年はようやく開催。
早めに長岡に行ってみたが駅前大通りはお祭りの雰囲気は限定的。前夜祭の民謡流しなども人数を抑えた形で行われたよう。
花火会場までは長岡駅から大通りを一直線で歩いて大手大橋へ行けるがまずは駅近くの市役所がイベント会場になっていたので軽く散策。
その後歩いて大手大橋へ。約1.6キロメートル。良い天気で日差しが暑いが風も強く吹いていて汗だくとまではいかない心地良い散歩。大手大橋つくころには少し曇って雨が2、3滴降りかかったりもしたがその後は蒸し暑くなった。ここまで来たけど花火会場はすべて有料席だしコロナなので人混みを避けるため、大手大橋を渡ってそのあと長生橋方面へ歩く。結局トータルで6キロくらい、約90分間歩いてさすがに最後は汗だくになってしまった。
夜になってから信濃川からは2キロくらい離れた市街の道路脇で3年ぶりの花火を鑑賞。良い天気に恵まれてよい花火だった。
ピアリング戦記 インターネットを繋ぐ技術者たち/小川晃通
あきみち氏の新作。日本のインターネット黎明期について関係者へのインタビューを交えて当時の模様を活写した非常に貴重な本。読み物として超おもしろい。ピアリングとは何ぞやという非常にシンプルでわかりやす解説を最初にしていてその後のインタビューの意味が分かるようになっているのも素晴らしいと思う。関係各社の様々な思惑とパワーバランスによるせめぎ合いがあったという話が「ここまで書いてよいのか?」というような裏話的なことも含めて載っていてかなり攻めた内容なのでそのうち改訂されてしまうかもしれないので今入手できてよかったかも笑
あきみち氏の著作は買って損なし!次作も期待
さとうけいいち総監督、川村泰監督「GANTZ:O」
Amazon Prime videoにて鑑賞。
奥浩哉の漫画「GANTZ」の「大阪編」をフル3DCG化した作品。ストーリー的にもCG的にも迫力があって非常に楽しめた。
朴葵姫(パク・キュヒ) ギター・リサイタル@トッパンホール
当初2022年3月12日予定だったがコロナ患者増加に伴う政府の水際対策により本人が来日できなくなって延期されていた朴葵姫のギターリサイタル。私にとっては3年ぶり2回目の朴葵姫の生演奏。おまちかね。コロナ第7波真っ最中ということで人出はどうかと思ったがほぼ満席で人気のほどが伺える。
前回と同様、MCは苦手ということで最初と最後に短く。ひたすら演奏を聴かせるステージ。曲は王道クラシックなものがメインだが曲調はさまざまバラエティに富んでいて飽きさせない。前回聞いたときは非常に柔らかで滑らかで優美、という印象が強かったが今回はそれに加えて力強さもあってバランスが良くさらに心地よかった。
個人的には昔自分でもかなり練習した「魔笛」の主題による変奏曲が彼女の演奏で聞くことができたのが嬉しかった。それからタレガのグラン・ホタは曲の複雑さとそれを自然に弾きこなす力量に感心。
アンコールで登場した際に「ゆっくりの曲とはやい曲どちらが良い?」と客席に問いかけ。客席の反応が微妙で苦笑いしつつ"はやいほう"の「フォーコ」を演奏。これで終わりのつもりだったのかもしれないが拍手鳴りやまず2回目のアンコールで"おそいほう"の「花は咲く」を美しく爪弾いた。
3年ぶりに聴く朴葵姫のリサイタル非常に満足。次の機会も是非足を運びたい。
プログラムは以下。
(休憩)
- F.M=トローバ:ソナチネ
- 第1楽章 アレグレット
- 第2楽章 アンダンテ
- 第3楽章 アレグロ
- H. ヴィラ=ロボス:
- プレリュード第2番、第3番
- ショーロス第1番
- 練習曲第12番
- G. マーラー:アダージェット~交響曲第5番より第4楽章(佐藤弘和 編曲)
(アンコール)
- R. ディアンス: フォーコ
- 菅野よう子:花は咲く
朴葵姫Instagram:
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