以前、時間テーマのアンソロジーで読んだノックス・マシンがなかなか衝撃だったのでオリジナル短編集を読む。
- ノックス・マシン
- 引き立て役倶楽部の陰謀
- バベルの牢獄
- 論理蒸発 ノックス・マシン2
法月綸太郎はミステリ作家だと思っていたのだが初めて読んだのがこの短編「ノックス・マシン」で、SFファンの私としてはこのアイディアに脱帽。
一言でいえばハードSFだろうな。
これ、SF素養がないミステリファンが読んだらかなり肩透かしとなるだろう。
これに対して「引き立て役倶楽部の陰謀」はごりごりミステリおたく向け?
私自身はミステリはそれほど読んでいないのでここに出てくる古今東西有名作品の「引き立て役」がわからない人が多くて面白さはあまりつかみ切れていないと思われる。
おもしろかったけどね。
「バベルの牢獄」は、なんというか実験的SF作品とでもいえば良いか?全然似ていないが奇妙な世界観としてはボルヘスの「バベルの図書館」に通じるものを感じる。
「ノックス・マシン2」は「ノックス・マシン」の続編で主人公のその後も描かれるが新たなアイディアを核に構築されていて興味深い。
ということで、世の中一般の評判を見ると、「2014年度『このミステリーがすごい!』第1位」と輝かしい評価なのだが、これのせいで一部のミステリファンにはだいぶ不評を買っているようだ。
上にも書いたが「引き立て役倶楽部の陰謀」以外はこれは基本的にSF作品だ。本格ミステリを期待して読んだらそら怒る人が出るわ。
じゃあSF界での評価はどうなのかと思って2014年度の星雲賞を見てみたが残念ながら見当たらない。
えー。私としては日本人離れしたSFセンスを持った素晴らしい作品なのだが。
初めて飛浩隆の「象られた力」を読んだ時のような衝撃を思い出した。