「グラン・ヴァカンス 廃園の天使I/飛浩隆」(早川書房)

「象られた力」が強烈に印象的だった寡作の人、飛浩隆の作品。
ネットワーク内に1000年もの間打ち捨てられた仮想リゾートで起こる想像を超える戦いの物語。南欧の海岸の町を模したこの仮想世界、透き通る青くて高い空、人気のない白い砂浜、静かに永遠に繰り返されるはずの1日が、突然絶望的で残酷な死を迎える。侵略者の正体は一体何なのか、仮想リゾートと実世界はなぜ途絶したのか等々読む者をひきつけて離さない。
残酷シーンの連続にややお腹いっぱいになった気もするが、壮大なSF小説+魔法使い小説+耽美小説といった感じか?うーむ、表現が難しいけど、私としては期待に背かぬ面白い小説だった。いや、過去形ではなかった。早く続きを書いて!