「茶の本/岡倉覚三著 村岡博訳」

読了。何か変わったもの読みたいと思って古本を漁って買いました。日本人が英語圏の人間に対して、日本人の感性、人生哲学などを「茶」の紹介を中心に据えて英文で記述した本の訳本です。この本の原本「The Book Of Tea」が英文で書かれ出版されたのが1904年、この本が出版されたのが1929年(昭和4年)というのだからえらく昔の本です。私が古本屋で買ったのは第50刷で昭和46年発行のものですが、気になって近所の書店で探したらちゃんとまだ増刷して売っていました。こういう本を出し続けられる岩波文庫はすごいです。いつまでもこのままでいてください、って感じです。というか、どういう仕組みで成り立っているの?(^^;

紹介の代わりに、著者の弟、岡倉由三郎の「はしがき」から以下一部引用。

この書は訳文からも知られるとおり、茶の会に関する種々の閑談やら感想やらを媒介として人道を語り老荘と禅那とを説き、ひいては芸術の鑑賞にも及んだもので、バターの国土の民をして、紅茶の煙のかなたに風呂釜の煮えの別天地のあることを、一通り合点行かせる書物としては、おそらくこれを極致とすべきかと、
(以下略)



私は茶道に特に知識や興味がありません。「日本人として恥ずかしくないように最低限のことは知っておいた方が良いよなぁ、岩波文庫だったらきっと一通りのことがわかるような内容だろう。薄くてよみやすそうだし」という、お手軽な雑学書を買うような思考だったのですが、私の頭がかぼちゃでした。すいません。
日本をよく知らずちょっと蔑視傾向のある外国人になったつもりで読んでみましたが、うーん奥深いぞ日本、実はなかなか面白い文化を持っているじゃないか。何と言おうか、岡倉氏の主義主張が熱く語られた内容です。文章が名調子!って感じがします。元の英文自体もこのようなニュアンスを伝えるものだったのでしょうか。原文を読んでみたくなりました。世代が異なるので陳腐化した部分も当然あるのでしょうが、きっとこれは名著なんでしょうね。

茶の本 (岩波文庫)

茶の本 (岩波文庫)