第41回 スペインギター音楽コンクール@台東区ミレニアムホール

10月14日(土)、10月15日(日)の二日間に渡って開催されたスペインギター音楽コンクールを聴きに台東区生涯学習センター内のミレニアムホールへ。
日本・スペインギター協会の創立50周年記念ということで、グランドファイナル進出の3名はアランフェス協奏曲を3楽章すべてオーケストラと合わせて演奏して優勝を決する、という豪華な内容。
目当ては宮川春菜だが他の参加者にもとても期待して聴きに行った。


初日は遅れていったので2次予選途中から。
課題曲はマラッツのセレナータ・スパニョラ。私も過去懸命に練習したことのあるお馴染みの曲。
2次予選はこの1曲だけを挑戦者が延々と披露していくのでそれぞれの演奏者の個性が出るし力量の違いが分かりやすく出てしまう。
宮川春菜の演奏はリズム良し、強弱もしっかり出ていて小気味よい演奏だった。2次予選最後の演奏者Ausias Parejo(スペイン)もさすが本場の演奏者という感じで好印象。

15:30に2次予選のすべての演奏が終わってその後約40分間は選考時間。
16:10に本選進出者10名が張り出された。
宮川春菜もしっかり合格。個人的には危なげない納得の本選進出かなと。


本選は17:00から、ということでさすがに暇なので外を散策したり、近くの公園でコンビニコーヒーを楽しんだりしてから時間近くなって会場へ戻った。


本選は自分も審査員になったつもりで聴き入ったが40人から選抜された10人はさすがにレベルが高くて皆とても良かった。
その中でも3人を選べと言われたら、個人的な思いとしては宮川春菜、赤井香琳、Ausias Parejoかなあと。
選考時間どのくらいかかるのかな、と思っていたらなんと翌日に発表と聞いて驚く。期待と不安でもやもやとすっきりしないまま初日は帰宅。


翌日、Twitterでグランドファイナル出場者が発表された。
宮川春菜が見事選ばれていてとても嬉しくなる。これで彼女のアランフェスが聴ける!
あとは海外からの参加者2名、Ausias Parejo (スペイン)とAndres Madariaga (ドイツ)。


演奏順は
1 Andres Madariaga
2 Ausias Parejo
3 宮川春菜
という好順番。


最初のAndres Madariagaの演奏はまずます。
途中オーケストラと速さが合わなくて慌てた感じが伝わってきたのが少し惜しい。
陽気なキャラでその場を楽しんでいる感はこの人が一番あってとても癒された。


2番目のAusias Parejoの演奏で一番印象的だったのはオーケストラと合わせようとするアイコンタクトの多さ。
演奏開始前から演奏後までオーケストラメンバーへのリスペクトと一体感があったのはこの人。
演奏スピードも安定感もあってとてもこなれた演奏だったが、一方で音量が控え目でギターコンチェルトとしての全体バランスとしては物足りなかったか。


日本人唯一のグランドファイナル進出者、宮川春菜がラストの演奏。
オーケストラと協演するのが夢、と言っていたので初めての経験になるのだと思われるが、舞台に登場した姿は堂々としたものでそれだけでなにやら嬉しくなる。
演奏が始まって思ったのはまず音量がしっかりあって音色もとても美しく響かせているということ。
テクニックはしっかりしていて速いパッセージもあぶなげなく安心して聴くことができた。ただ素人の私でもわかるミスはほんの少々あったり。
でもとにかく最後まで思い切り弾きたいように弾き切った感を受けて個人的には喝采を送りたい演奏だった。


個人的な順位は、
1 宮川春菜
2 Ausias Parejo
3 Andres Madriaga

だったのだが、実際の結果は優勝がAusias Parejoで宮川春菜は惜しくも2位。
1 Ausias Parejo
2 宮川春菜
3 Andres Madriaga
となった。

特別審査員の福田進一氏から簡単に講評が述べられたが、Ausias Parejoが曲の解釈、表現、オーケストラとの一体感でピカ一(ただし音色は一番課題)。宮川春菜は自由に引きすぎている点が減点、オーケストラのレベルが高かったので合わせられたというような内容だったかと。

コンクールは、楽譜どおりに作曲者の意図がどれだけ正確に反映しつつ表現できているのかが第一なので、聴衆の聴きやすさだけでは結果に結びつかないのだなと納得はしつつ、少し残念にも思いつつ帰宅。でもこのコンクールを二日間聞くことができたのは自分にとってもとても良い経験になったと思う。