鴻上尚史 作・演出「アカシアの雨が降る時」@新国立劇場


久しぶりに鴻上尚史作品を観に初台の新国立劇場へ。
キャストは「三択の女王」竹下景子、子役から脱却して頑張っている鈴木福、そしてカムカムミニキーナ主宰の松村武。初演は2021年で今回は再演。初演の時の主役の久野綾希子は惜しくも亡くなっており、今回の再演の中で初演にも出ていたのは松村武のみという形。
内容は、年老いた母とその子供そして孫の家族関係を描いたもの。倒れた母・香寿美が病院で目覚めると自分が20歳の大学生だと思い込み学生運動反戦活動を必死に取り組もうとする。無理に記憶を呼び覚まそうとしてはいけないという医師の指示で、息子の俊也、孫の陸が懸命に香寿美に調子を合わせようとする中で、戦争や70年代の学生運動のことを目の当たりにする陸を中心に、それまで掛け違っていた家族の形が変化していく。
ストーリーは重くて考えさせるものでありながら笑いと温かさを感じることができるとても印象的な芝居だった。竹下景子の演じる香寿美が本当に若々しく感じられ素晴らしい演技。三択の女王を間近で観ることができたという点でも感慨深かった。