リピート/乾くるみ

好き嫌いが大きく分かれるらしいが乾くるみの「イニシエーションラブ」がなかなか面白かったので次作を読んでみた。今回は意外にももろSF設定の、しかも時間遡行テーマ。
ケン・グリムウッドの「リプレイ」を下敷きにしているのは作中で説明があり、10ヶ月前のある時点に「記憶だけ持ったまま」時間遡行して過去の自分の肉体に入って人生をやり直せる、と誘われた主人公と、同じように誘われた人々がどうなるかというお話。
時間テーマSFなのだが乾くるみは基本がいろいろな仕掛けを組み込んでその謎解きを持って読者にカタルシスを与えようという作風のため、このリピートもある意味謎解きものとも言える。
全体的に面白く読めたが、仕掛けに囚われすぎて登場人物達の考え方や行動にアラが目立つ印象もあり。

リピート (文春文庫)

リピート (文春文庫)