「テンペスト/池上永一」

琉球王朝を舞台に、一人の女性の人生を描くジェットコースター小説。最初は超真面目な大河ロマン的な話だと思っていたら、読み進めるうちになんだかこれはお笑いギャグ小説というかドリフ的コント小説という気がしてきた。妖怪めいた登場人物も出てきたり。最後まで面白く読めるのだが、どうも一つの作品としての統一感を感じられない。文章や話の展開に今ひとつ納得できず、面白く読み進めていると急にがくっと「なんじゃこの展開」となり、話の世界に深く入り込めないのだ。好き嫌いレベルなのかなぁ。違う気がするんだけど。
前に読んだ池上作品も何かこういう感じのことを書いた気がする。その時は、ほかの作品を読んでみるまで評価保留、ということにした記憶があるが、なんなんだろ。やっぱどっちかと言われると今イチに傾かざるを得ない気持ち。いろいろなものを柔軟に取り入れるチャンプルー的な何かが根底にあるのかなぁ。でも、そういう素材がまとまって一つのテイストを出してこそであって、なんか、こなれてなくて素材がゴロゴロ不均一に盛ってあって、ほーらこんな展開面白いでしょ、みたいな押しつけを感じちゃうんだよなああ。
この人の作品との相性は良くないなああ。いや、面白いんだけどさあ。なんかもっと面白くて印象深い作品になりそうなのに惜しいと感じてしまうから、こういうふうにいろいろ書きたくなっちゃうんだけどさ。うーーーーーーぬぬぬ。

テンペスト 第一巻 春雷 (角川文庫)

テンペスト 第一巻 春雷 (角川文庫)

テンペスト 第二巻 夏雲 (角川文庫)

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テンペスト 第三巻 秋雨 (角川文庫)

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テンペスト 第四巻 冬虹 (角川文庫)

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