「墓地を見おろす家/小池真理子」(角川ホラー文庫)

古本屋で「復刊が長く待ち望まれた、衝撃と戦慄の名作モダン・ホラー」という謳い文句に魅かれて購入。それほど期待しなかった割にこれはなかなか良い作品だった。タイトル通りで設定はぢ・みーなのだが、怖い。実に嫌な感じだ。マンションの暗い地下室、殺伐としたコンクリのタタキが放つ陰惨な雰囲気が子供の頃酷く恐ろしく感じたことが誰でもあるのではないだろうか。道具立てを考えると単純なのにこれだけ雰囲気を出せるのは作者の旨さだと思った。この冷ややかな怖さ、という意味で私はスティーブン・キングの(私が個人的な名作に数えている)ペット・セマタリーを思い出す。話の内容やテイストは全然違うけど。