「遺品/若竹七海」

怖い話を読みたいと思って何となく手に取った角川ホラー文庫の本。コルタサルの石蹴り遊びを図書館で発見したのだけれど、分量的にも内容的にもなかなか手ごわそうなので、読みやすいものも欲しいと思って一緒に借りた(で、結局こちらを先に読んでしまいました)。例によって作品についても作者についても何も知らず、従ってそれ程期待しないで読み始めたのですが、実はこれがなかなか。古い洋館ホテルの一室に長い年月封印されてきた、ある女優に関するコレクションを一般公開する仕事に就いた女性学芸員が体験する奇怪な出来事。話が進むうち徐々に雰囲気に飲まれて怖さがじわーと滲んできます。些細な"不思議"の積み重ねで怖さを盛り上げていくうまさに作者の筆力を感じました。。。ミステリ畑の人だよ、という話を奥方に聞きなんとなく納得。これは確かにミステリの作法かもしれない。若竹七海の作品としてはこれはかなり異色なのかもしれないが他の作品も読んでみたくなりました。
さて、石蹴り遊びにとりかかるか。いや、実はもう一冊、昔読んだコルタサルの短編集も借りてきちゃったのだった。

遺品 (角川ホラー文庫)

遺品 (角川ホラー文庫)