人工知能の見る夢は/人工知能学会編

人工知能学会の学会誌(2012年9月〜2016年11月)に掲載されたAIショートショート集。
日本SF作家クラブ協力という事で著名なSF作家が名を連ねている。
各章テーマを設定して作品を分類しそのテーマについて研究者が解説を入れるという構成になっていてフィクションと現実の比較ができて面白い。


テーマ:

(この中でパッと見「環境に在る知能」だけはピンとこないが原文を引用すると「私たちの眼前の機械ではなく、私たちの生活環境自身に埋め込まれて衣食住をサポートしてくれる、一見目に見えづらい人工知能」のことであり社会実装の例としてIoTを挙げている。)


このようなテーマ毎に3〜4話のストーリーが編まれている。
ショートショートなので読みやすいしポイントも分かりやすく、人工知能分野の未来への広がりとデメリット、解決しなければならない課題などに関する脳味噌のポリシーファイルをバージョンアップしてくれる感じだ。いや、少し言い過ぎか。これらが掲載されたのはもう6年以上前なので先進性は既に記述された頃の色合いとは変わってしまっているのは間違いない。ChatGPT登場前夜版ポリシーファイルの位置付けか。


ちょうど今ChatGPTによる自然な文章作成能力の高さが大きな話題となっていて、これをWEB検索に組み込むことで使い勝手が飛躍的に向上しこれまでのGoogle一強が転覆するかもという予測が出ている。もちろん検索だけではなく様々なエキスパート的な判断ができるシステムへの応用が一気に進みそうな雲行きだ。2023年は人間の働き方、生活様式などにこれまでにないレベルのパラダイムシフトが起きるのではないか。というか人工知能たちが吐き出す文章や画像を見ているとそれはもう確信だ。
クリエイティブな職業はAIに取って代わられることはない、という説があるが昨今の状況を見るとそうではない気がする。間違いなく今までクリエイティブだった部分をAIが代行できるようになる。どのような個性を持つAIを作るか(どのような学習データを与えるか)などにクリエイティブ性の重点が変わっていくのだろう。


とちょっと真面目に人工知能について感じること書いた。
ホント、シンギュラリティ直前でない?