SF先駆者の一人の作品ということで、歴史的な価値はあるのだと思うが、今読んでものすごい面白いかというとそうでもない。あべこべの世界に迷い込んでしまった青年の話で、その「あべこべ」にいかに説得力のある説明を付けて読者にパラレルワールドの概念を植えつけるかというところの書込みが丹念にしてあってそこが肝になっている。ところがそれ以外の人間的な物語部分がどうも没入できない。だーって、美人であればOK→結婚!みたいな唐突で納得行かない気持ち展開なんだもの。これが書かれたのは1960年代で現代の恋愛・結婚観とは異なるせいもあると思うのだけど、実際当時読んだ人はどう思ったのだろう。。。
「フォボスとデイモス」は侵略者の話なんだと思うが最後の展開が意味良く分からず。
「遊覧バスは何を見た」は広瀬正が得意な時間テーマもの。こういうノスタルジックな感じは結構好きだけど、これはあまりSFではないか。
「おねえさんはあそこに」は接触もの。これはまぁ普通に楽しく。
鏡の国のアリス 広瀬正・小説全集・4 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)
- 作者: 広瀬正
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/10/17
- メディア: 文庫
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