Hacoソロライブ @Ftarri「Ftarri水道橋店10周年記念コンサート・シリーズ」


今夜はFtarri水道橋店でHacoの歌ものソロライブ。
東京でのライブは4年ぶりと言っていたが私が前回行ったQoosuiリリースツアー@七針は2017年10月なので丸5年ぶり。
ノートPCとカオスパッドを軽やかに操りながら歌うHacoは相変わらず繊細で美しい音に満ちた空間を緻密に織り上げる随一のパフォーマー。控えめにいっても凄すぎた。


今回はFtarri水道橋店10周年記念コンサート企画ということでライブ会場は店舗内の狭いライブスペース。コロナ禍対応で客は20人限定。予約者が全員来店するまで待っていたので始まったのは予定よりすこし遅れて20:15ごろだったか。始まるまではFtarriのコアすぎるCD/LP/カセットテープの商品ラインナップを眺めて過ごした。
ちなみにFtarriはもともと鈴木美幸氏が運営する「Improvised Music from Japan」という通販Webサイトの物理店舗ということで、店舗は10周年だがWebサイト自体はたしか1990年代からあって当時からHacoもリストされていたと記憶している。この界隈の音楽に興味を持ち始めていた私はこの趣味に満ち満ちたサイトを見つけてなんか生意気にもこんな人の音源も扱ってほしいと氏へ直接メールした結果、丁重にお断りの返事をもらった記憶がある。ということで私にとっても20年以上の過去と今がようやくリンクしたような特別な喜ばしい心持ち。Ftarriさんおめでとうございます。


ライブは2部構成。
1部は2021年6月18日リリースされたHacoソロ最新8thアルバム「NOVA NATURO」から、2部は過去作品から。それぞれ30分強ずつのステージ。
Hacoは薄紫のふわふわ衣装にいつもの長い髪姿で登場。10周年記念ということで冒頭MCにてお店へ一言祝辞を述べてからライブ開始。
照明が落ちてプロジェクタで背景映像が流される中、静まり返った会場でMacBookをミニマウスでクリックする音とKORGKAOSS PADのプログラム選択つまみをカリカリ回す音が大きく感じられるがこの静けさも含めてHacoのステージという感じ。そして音が流れ歌いはじめた瞬間からもう狭いステージ空間は無限の広がりを持った別世界。脳髄を上質のスパークリングワインの細かい泡でしゃわしゃわ洗われているかの如くの心地よさ。昇天しそう。単にカラオケ的にバックトラック流しているのではなく意外と常に音を操作し「演奏」しているのでライブとしての臨場感、一体感があるのもいつも不思議に思うところ。滑らかな手や身体の動きもひとつひとつ考えられているのだろう、動と静、背景映像とも相まってビジュアル的にも美しくて非常に印象的だった。


曲名を覚えられない私がわかったのは2部の最後Riska収録の「プルシャ/Purusa」のみ。
アンコールは無いかな、と思ったらしっかりやってくれた。これが鳥肌もののAfter Dinner「髪モビールの部屋/The Room of Hair Mobiles」。以前CDで再発されたスーベニール・カセットやGlass Tubeのボーナストラックにも収録されているが、衝撃的に良かった。机の上の木琴たたくときのマレット、何に使うんだろうと思っていたらこの曲のためだった。ライブでこの曲を聴くことができたのは一生ものの宝だと考えている。
とにかくHacoのライブめちゃくちゃ惹き込まれた。もっと東京来てほしい!と常々言っていることをまた書いておく。


開演前に持っていないCDを2枚ほどHaco本人から購入させていただいた。
本当はもっとほかにもほしいのがあったのだがぼやぼやしていたら先に買われてしまった。
ライブ後にサインしてもらっている人々うらやましいなーと思いながらも勇気振るわず。