日本のインターネット黎明期をたどる

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前々から一度見てみたいと思っていたNTT技術史料館。毎年桜の季節にやる「春の特別公開」は今年は小雨降る生憎の天気だったがそのせいか人も少なく落ち着いてじっくり展示を見ることができた。建物の大きさは一見こじんまりな印象だが中身の情報量の多さは驚くほど。単に技術開発の歴史に触れたというフラットな言葉では表現しきれない、自分自身の子供の頃からの生活を一気に追体験したような、いままで知らなかった世の中の秘密を突然暴露されてもやもやと漠然としていた世界に光がさすような一種の陶酔感というか記憶のフラッシュバックによる立ち眩み感というか、強い印象的な体験をすることができた。


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日本のインターネットに関するコーナーはそれほど広くない一角にあるだけだがそれでもここをすべて見るだけで1時間半かかってしまった。なんといっても「IPパケットが初めて太平洋を横断して日米が接続された時に使われたCiscoルータ」が2台展示されているのが目玉。研究所がWWWに取り組みはじめた時の関係者のインタビュー映像も当時の経緯や雰囲気が分かって面白かった。


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個人的にはこの日本のインターネット黎明期に関する展示を楽しみに見に来たのだが、今まであまり興味がなかったアクセス系の技術(電話局から各家庭までの通信ケーブルの敷設方式などのこと)も意外と面白く感じられた。


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あと携帯電話の膨大なコレクションも圧倒的。携帯電話のはしりのショルダーホン、実は私は子供の頃の思い出があって、多分これを都内で歩きながら通話しているお姉さんをみつけて「なにそれ電話?」と友達二人で追いかけながら話しかけたことがある。なにせ初めて見たというのもあるしお姉さんが綺麗な長い髪の美人だったのだ。私たちの問いかけを朗らかに軽くいなして「いま子供に絡まれてまーす」と笑いながら通話相手に報告していて、あれは一般ユーザではなく通話試験している電電公社職員か何かだったのだと思う。いま試験してるのよ、みたいなことを言われたような気もするし。
お姉さんは立ち止まることなく話しながら颯爽と歩いて行ったがその時の長い髪が揺れる後ろ姿はなぜか今も忘れない。


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これが特別展示の「電話100年記念切手」展。
グラハム・ベルが1876年に電話を発明した100年後の1976年にこれを記念して世界各国で作られた切手が3枚のパネルに集められていた。日本のNTT発行の切手もあってこれは1990年12月16日の日付が入っていた。


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ということで地下1階から3階までの展示をこのペースで見切るにはあと2回か3回はいかなくてはならなさそう。ホームページには動画も公開されていたりして充実している。一般公開は毎週木金。土日は今回のような特別公開が春だけではなくちょくちょく行われている模様。無料とは思えないよ。おすすめ。