ピーター・ウィアー監督「ピクニック・アット・ハンギングロック」

以前から観たかった映画。
DVDは廃盤でネット上ではプレミア価格で取引されているので手を出さずにいたのだが、コロナの10万円給付金も出たしこのお金は消費に回さないとね、と理屈をつけてポチってしまった。
1900年頃に実際に起きた女学園の生徒失踪事件に基づいているという。とにかく映像が美しく印象的。戸外の映像が多いが光が眩しく輝き全体的に光のもやがかかって柔らかく幻想的なタッチになっている。まるで絞り開放で撮ったAngenieuxの写真のよう。いわば印象派絵画のような映像だと感じた。反対に暗闇とそこに浮かぶランプの光といった映像もまた艶やかな闇を描き出している。そんな映像美の中でビクトリア調の白い服を着た美少女が見せる動きも一つ一つが全て心に訴えかけてくる。
ハンギングロックの触れてはいけない神の領域の恐ろしさと、この美しい映像が相まってなんとも言えない不安感と魅力を醸している。ストーリー的に面白いってものでもないので評価は分かれるのは理解できるが私は好き。買ってよかった。