箱庭図書館/乙一

6つの短編集。内容は様々だが、図書館を有し<物語を紡ぐ町>を標榜する「文善寺町」を舞台にして緩やかに繋がるように工夫されている。
いかにも乙一らしい技巧と叙情に満ちた作品だなと思ったのだが、あとがきを読んで驚く。なんとこの作品群は、読者のボツ原稿を送ってもらい乙一がリメイクしたものだそう。作品によって手の入り具合は異なるようだが元作品を読んで比較してみたくなった。そのくらいこの短編集は乙一らしくまとまっている印象がある。
「小説家のつくり方」「コンビニ日和!」「青春絶縁体」「ワンダーランド」「王国の旗」「ホワイト・ステップ」の6編、どれも面白かったが特に印象に残ったのは最後の「ホワイト・ステップ」。奇妙感と切なさの絶妙なブレンドが良い。

箱庭図書館 (集英社文庫)

箱庭図書館 (集英社文庫)

  • 作者:乙一
  • 発売日: 2013/11/20
  • メディア: 文庫