InternetWeek 2017

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参加するのはこれで3回目か4回目。日本のインターネット黎明期から続く由緒ある?イベント。いろいろな裏情報的なものも聴けて楽しい。昨年は忙しくて行けなかったので2年ぶり。会場は以前秋葉原だったのだが昨年から隣の浅草橋のヒューリックホールとなった。


最初は「2017年インターネット運用動向」。NTTコムの吉田氏の毎年恒例プレゼン。トラヒック動向、ルーティング動向、DNS動向、その他、インターネットの今年の全体的なトピックをまとめて聴けて興味深い。今年はgoogleがやらかした経路リークで大変だった話など運用現場の苦労話があってにやりとさせられた。それからIPv4のフルルート数が68万近くになったこと。50万超えてTCAM容量問題が、と言っていたのはついこないだな気がするのにもうそんなに増えたんだと吃驚する。インターネットトラヒックがhttp(80)ではなくhttps(443)が逆転して50%以上を占めるようになったというのもちょっと驚き。yahooや楽天https化したのが大きいとの分析になるほどーと唸る。身近にニュースネタとなったルートゾーンのKSKロールオーバーの延期の話もちょいあり。いまのところ実際いつやるのかは未定だそう。うちの職場はDNSSEC化していないので今は関係ないのだが、近く対応しなきゃあだなあと嘆息する。
このプレゼンはもう10年以上やっているそうだが1年の振り返りとして俯瞰できて頭がすっきりするので今後もぜひ続けてほしいものだ。
続いてpiyokango氏のセキュリティ動向まとめ。もうちょっと具体的な裏話的なものが聴けると面白かったかなあと思った。


次は「新しい働き方と地方創生の取り組み」、KDDIウェブコミュニケーションズ山崎氏のプレゼン。会社での働き方改革的な取り組みの紹介。在宅勤務がかなり浸透していることがうらやましい。権利を主張する社員が現れたらそれは勘違いであって取り上げる、という社長の発言が印象に残る。


「災害における通信インフラ復旧 九州での大規模災害を通じて」。QTnet安川氏。熊本地震、台風による広範囲な災害や、博多駅前大規模陥没などでの実際の現場の対応状況をさらっと発表。光ケーブル引き回ししている人たちの苦労を改めて実感する。


「インターネット/ICTの教育現場から」、つくば市立並木中学校の中村めぐみ氏。動画によるプレゼンとインタビュー発表。子供たちへのプログラミング教育導入に向けての活動状況の報告。動画の品質のせいかなんか早回し再生みたいというか、音声合成によるアナウンスみたいなしゃべり方で違和感あり。印象としてはまだまだ教育現場への導入って手探りで的を射た感じには遠い感じがした。


昼休みを挟んで午後の部。
iNTERNET magazine Reboot発刊記念:プロバイダーマップはどうやってできたのか?」インプレスR&D井芹氏。iNTERNET magazine創刊時からの思い出話。当時のモデム14,400だったよねーとか。プロバイダーマップ作ったときにこんな情報出してよいのか村井純氏に相談したらどんどんやれ、と言われた、とか。時代を感じるなかなか楽しい話だった。


「アジアと日本のインターネットを考える」。JPNIC奥谷泉氏をコーディネータに、白畑真氏、APNICのPaul Wilson氏がSkypeでプレゼン。Paul氏の発表はすべて奥谷氏が通訳。あれだけの内容を良く要領よくまとめて翻訳できるなあと驚き。これもなかなか興味深い話が聴けた。


「基調講演:"グローバル"インターネットを考える インターネットの殿堂入りに寄せて」。早稲田大学の後藤滋樹氏。インターネットの殿堂入りした記念プレゼン。


「パネルディスカッション:今そこにある「グローバル」インターネット 私たちは繋がっている」
モデレータ:JANOG金子康行氏、パネリスト:JPNIC,ICANN理事の前村昌紀氏、NTTコム宮川晋氏、慶應義塾大学土屋大洋氏、ジャーナリスト津田大介氏、慶應義塾大学クロサカタツヤ氏。
幅広くこれからのインターネットの在り方について議論。それぞれのパネラーの専門分野の視点から話があって非常に興味深かった。裏話・ぶっちゃけ話としては宮川氏と土屋氏の話が面白かった。海底ケーブルの陸揚局が好きだという土屋氏はだいぶ変な人だ。


ということで9:30〜18:00までみっちりの一日。今年はスポンサーがつかなかったのかランチセミナーがなく、したがって弁当支給もなくちょっと寂しかったが、充実した一日。面白かった。
私ももう少し趣味としてインターネット動向関連に時間を割いてもよいなあと思った。また来年参加したい。