久しぶりに筒井康隆を読んだ。同じような文章が繰り返されて行く中でそれが微妙に→激しく変わって行く、かなり実験小説的な作品。音楽にたとえればソナタ、いやロンドか?最初はこの文章構造にやや面食らうがすぐに慣れ、筒井節のヒステリックでサディスティックで大げさな目くるめく世界に思わずニヤニヤしてしまった。最初の小さな繰り返しが徐々にいろいろなものと混ざり合い複雑度が増して怒涛のスピード感で最後向かうこの感じはたまらない。だいぶ昔に読んだ「俗物図鑑」のような壮大さだ。
- 作者: 筒井康隆
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以下、未読の人は先入観を持たないように読まないで。
だが最後まで読んで、この作品は実は実験小説というよりは単に人生最後の瞬間に見るというパノラマ視を文章として刻み付けたものという印象を受けた。最初は腹を抱えつつも何やら物悲しい気持ちになった。なにやらすごく深い作品だった。
解説をこれから読んでみる。。。