「シャングリ・ラ/池上永一」

池上永一作品を初めて読んだ。
私が読む本の8割方は書痴、もしくは活字中毒を自認する奥方の収蔵物で、私が「何かオモロイのない?」とお願いして渡されたものだ。つまり今一な作品はフィルタリングされていて大抵おもしろい作品ばかり読むことができるのだ。が、こいつは。。。

奥方に渡された本の中では、近年まれに見るツッコミどころ満載の作品だった。読んでいる最中に強く感じたのは、今一なオリジナルアニメ作品を下手っぴにそのままノベライズしてるみたい、だ。
設定や幕開けのシーンから、シリアスで硬い近未来SFかと思ったら、だんだんはちゃめちゃのジェットコースター話になってきて、登場人物のキャラや行動は定まらないし全然展開に納得行かないし、もう上巻の途中から頭の中を「???」が渦巻いてぜーはーぜーはー息切れがしてきた。苦行だ苦行。でも、話としてどこまで連れて行かれちゃうのかという気持ちは捨てさせないパワーは一応あり、なんだかんだ最後まで読んだ。
この人の頭の中にいろいろな才能がありそうなことは感じられるが、しかしこの作品は私的には「こりゃだめだ」だ。商業ベースに乗せるようなもんじゃなかろ、コレ。(逆に自主制作世界で見つけたら、これだけじゃ終わらないぞこいつは、と感じたと思う。)
奥方曰く「確かに初めて池上永一作品を読む人にこれを渡すのはどうかとは思ったのだけど」。
池上作品の中でもちょっと毛色が異なるものなのだそうだ。他作品でお薦めもあるとのこと。
うーん、そうなのか。確かに解説しているのが筒井康隆(!)だし、その中でこの作品の短所が別作品では払拭されていて非常に素晴らしいものになっているとお勧めしてたりするし、もう数冊は読んでみるか。しかし、うーーーーむ!疑心暗鬼の目。。。

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)