「ベガーズ・イン・スペイン/ナンシー・クレス」

店頭に並んだ<プロバビリティ>シリーズが面白そうで気になっていたのだが、読んだことない作家だし、分厚いのが3冊もあるし、つまらなかったら痛手だなー、という感じで手を出しそびれていた。そしたらいつの間にか奥方がこの中・短編集を家に運び込んでいたので早速読んだ。タイトル作の「ベガーズ・イン・スペイン」は遺伝子改変技術により睡眠を必要としない子供=無眠人が誕生するという新人類もの。睡眠をとる必要がないので通常人より時間を多く使えて優秀、という発想はものすごくシンプルだが、それを足がかりにこれだけ説得力のある世界を構築するのは難しいと思われる。作者の非凡さを感じた。基本的にはなかなか面白くてどんどん読み進められる作品だ。ただ、どうも人の心の動きが良く分からないところがあって鳩豆な瞬間が。私がおかしいのかなぁ?通常人のアリスが、無眠人の姉リーシャに反感をもって罵倒する場面、なんか結局最後がどっちつかずで唐突な展開なんだよ。書込みが足りないんでないかなあ。。。
んで、他の作品も「ダンシング・オン・エア」とか、なかなかイイ感じなのだが、微妙にすっきりしない展開や表現があるんだよ。
今回これ読んだだけでは評価を下しきれないというすごーく半端な気分。同じ作家のいろんな作品を読んでその度にその作家に対する評価がコロコロ変わるというのは別にありがちなことなのだが、1冊読んでどっちつかずっていうのは珍しい気がする。いや、ほんと基本は面白いんだけどさ。うーむ。。。
しょうがないから<プロバビリティ>シリーズ手を出しちゃうか。

ベガーズ・イン・スペイン (ハヤカワ文庫SF)

ベガーズ・イン・スペイン (ハヤカワ文庫SF)